ラズパイでRubyのWebクローリング/スクレイピング環境構築メモ(前半)
先日、ラズパイ上で、Ruby,SeleniumWebDriverのWebクローラー/スクレイピング環境を構築しました。Windows上では環境構築したことがありましたが、Linux系OS上では初めて環境構築しました。手間取ったことも多く、いくつか試行錯誤しながら作業したので、備忘録として手順をまとめたいと思います。
記事が長くなるので、2部構成にします。前半は、OSアップデートから、Rubyのインストール手順です。後半は、Webクローリング/スクレイピングするためのRubyジェムをインストールする手順です。
では、前半です。
動作確認環境
環境構築前は、次のような環境でした。
- Raspberry Pi Model B Rev.2
- Raspbian GNU/Linux 7 (wheezy)
- Linux raspberrypi 3.10.25+ #622 PREEMPT Fri Jan 3 18:41:00 GMT 2014 armv6l GNU/Linux
- Ruby 1.9.3p194 (2012-04-20 revision 35410) [arm-linux-eabihf]
- RubyでWebクローラー/スクレイピングするためのソフトウェアやライブラリなし
今回の作業後は、次の環境になりました。変更点のみ記述します。
作業の流れ
- OSアップデート
- Ruby管理ツールインストール
- Rubyインストール
- Rubyジェムインストール(Selenium-WebDriver,Nokogiri)
- Rubyジェムインストール(Headless)
Rubyをインストールするまでの手順は、次のサイトに従って行いました。
OSアップデート
以降の作業を安定して進めるため、次のコマンドでOSをアップデートしました。
$ sudo apt-get update
補足
今回作業の中で、試行錯誤した際に、次のコマンドも実行しました。必要な作業であったかどうかは不明です。
$ sudo apt-get upgrade
Ruby管理ツールインストール
今回初めて、rbenvの存在を知りました。バージョン違いのRubyをインストール、管理するツールのようです。Rubyには、下位互換性が低いバージョンがいくつかあるようなので、複数バージョンを管理できるツールがあるのは便利ですね。
次のコマンドでインストールしました。
$ sudo apt-get install rbenv $ git clone https://github.com/sstephenson/ruby-build.git ~/.rbenv/plugins/ruby-build
次のコマンドで、インストールしたコマンドが使用可能な状態になったことを確認しました。
$ rbenv -h
トラブル体験
ruby-buildは、apt-getでもインストールできました。その場合、インストール可能なRubyのバージョンが「2.0.0-dev」までしか表示されませんでした。
apt-getとgitの両方のruby-buildをインストールしてしまったことがありました。その場合、`rbenv install --list`ではインストール可能なRubyバージョンが色々表示されましたが、`ruby-build --definitions`では「2.0.0-dev」までしか表示されず、`rbenv install 2.2.4`を実行すると、なぜかコマンドの使用方法が表示され、インストールできませんでした。
apt-getでruby-buildをインストールしたときは、次のコマンドでアンインストールしました。
$ sudo apt-get remove ruby-build $ sudo apt-get autoremove
Rubyインストール
まずは、次のようにして、Rubyで必要となるライブラリ類をインストールし、その設定を行いました。
$ sudo apt-get install autoconf $ sudo apt-get install libreadline-dev $ sudo apt-get install libssl-dev $ sudo apt-get install ruby-dev $ dpkg -l autoconf libreadline-dev libssl-dev ruby-dev $ echo 'eval "$(rbenv init -)"' >> ~/.bash_profile $ . .bashrc
次に、インストール可能なRubyバージョンを確認し、インストールしました。インストールしたRubyバージョンは、普段使っているWindows環境に合わせ2.2.4にしました。インストールには数時間かかり、動作しているかどうか不安になるため、オプション「-v」を付けて、詳細メッセージを表示するようにしました。
$ rbenv install --list $ rbenv install -v 2.2.4 $ rbenv versions 2.2.4 (set by /home/xxx/.rbenv/version)
次のようにして、バージョン2.2.4が適用されていることを確認しました。
$ rbenv global 2.2.4 $ rbenv rehash $ ruby -v ruby 2.2.4p230 (2015-12-16 revision 53155) [armv6l-linux-eabihf] $ gem -v 2.4.5.1
トラブル体験
autoconfのインストールをせずに作業を進めたときは、`rbenv install`のときに、次のようなエラーが発生してしまいました。
/usr/bin/ruby-build: 行 161: autoconf: コマンドが見つかりません
libreadline-devのインストールをせずに作業を進めたときは、`rbenv install`のときに、次のようなエラーが発生してしまいました。
Try running `apt-get install -y libreadline-dev` to fetch missing dependencies.
後半へ
前半は、ここまでです。後半は、こちらです。
ラズパイでRubyのWebクローリング/スクレイピング環境構築メモ(後半)
前回の続きです。
前回は、OSアップデートから、Rubyのインストールまでの手順を書きました。今回は、Webクローリング/スクレイピングするためのRubyジェムをインストールする手順です。
Rubyジェムインストール(Selenium-WebDriver,Nokogiri)
RubyでWebクローリング/スクレイピングするのに便利なジェムとして、Selenium-WebDriver、Nokogiriをインストールすることにしました。インストールは、次のように行いました。
$ gem install selenium-webdriver $ gem install nokogiri
Selenium-WebDriverが動作するように次の設定を行いました。この設定が必須なのかどうかは不明です。
$ sudo vi /etc/hosts $ diff /etc/hosts.bk20160403 /etc/hosts 2,6c2,6 < ::1 localhost ip6-localhost ip6-loopback < fe00::0 ip6-localnet < ff00::0 ip6-mcastprefix < ff02::1 ip6-allnodes < ff02::2 ip6-allrouters --- > #::1 localhost ip6-localhost ip6-loopback > #fe00::0 ip6-localnet > #ff00::0 ip6-mcastprefix > #ff02::1 ip6-allnodes > #ff02::2 ip6-allrouters
Selenium-WebDriverから制御可能なブラウザとして、Firefoxを使うことにしました。Linuxの世界では、Firefoxの代替(?)が、Iceweaselらしいので次のようにしてインストールしました。
$ sudo apt-get install iceweasel
ここまでの手順で、ラズパイのX端末環境において、RubyでWebクローリング/スクレイピングができるようになりました。ただし、X端末が必要ですし、Selenium-WebDriver動作時にはブラウザが画面表示されます。これだと、CUI環境で動作させることはできませんでした。
トラブル体験
hostsファイルのIPv6設定を有効にしたまま、RubyジェムのSelenium-WebDriverを使うと、次のようなエラーが発生しました。
/home/xxx/.rbenv/versions/2.2.4/lib/ruby/gems/2.2.0/gems/selenium-webdriver-2.53.0/lib/selenium/webdriver/common/port_prober.rb:47:in `initialize': Address family not supported by protocol - socket(2) for "::1" port 7055 (Errno::EAFNOSUPPORT)
このエラーは、次のページをみて解決することができました。感謝!
Firefox(Iceweasel)をインストールせずに、RubyジェムのSelenium-WebDriverを使うと、次のようなエラーが発生しました。
/home/xxx/.rbenv/versions/2.2.4/lib/ruby/gems/2.2.0/gems/selenium-webdriver-2.53.0/lib/selenium/webdriver/firefox/binary.rb:150:in `path': Could not find Firefox binary (os=linux). Make sure Firefox is installed or set the path manually with Selenium::WebDriver::Firefox::Binary.path= (Selenium::WebDriver::Error::WebDriverError)
このエラー発生時には、次のページにお世話になりました。このぺーじでIceweaselの存在を知り、インストール方法が分かりました。
ここまでの手順の状態(CUI環境で動作させるための環境構築を未実施)にも関わらず、CUI環境でRubyジェムのSelenium-WebDriverを使うと、次のようなエラーが発生しました。
/home/xxx/.rbenv/versions/2.2.4/lib/ruby/gems/2.2.0/gems/selenium-webdriver-2.53.0/lib/selenium/webdriver/firefox/launcher.rb:90:in `connect_until_stable': unable to obtain stable firefox connection in 60 seconds (127.0.0.1:7055) (Selenium::WebDriver::Error::WebDriverError)
このとき、次のページを見つけて、Headlessの存在を知りました。
Rubyジェムインストール(Headless)
今回初めて知ったのですが、Selenium-WebDriverをCUI環境で動作させるためには、Headlessというジェムがありました。次のようにして、Headlessジェムと、そのジェムを動作させるためのライブラリ類をインストールしました。
$ sudo apt-get install xvfb $ gem install headless $ sudo vi /etc/modprobe.d/ipv6.conf $ diff /etc/modprobe.d/ipv6.conf.bk20160403 /etc/modprobe.d/ipv6.conf 3c3,4 < #alias ipv6 off --- > alias ipv6 off
これで、CUI環境でも、Selenium-WebDriverが動作するようになりました。
トラブル体験
Selenium-WebDriverでブラウザを上手く起動できない時がありました。その場合、`export DISPLAY=:99`としてから、動作させると上手く起動できました。でも、最終的にはその手順をしなくても動作するようになりましたので、必須の手順ではないようです。
Selenium-WebDriverでWebクローリングしたところ、取得したWebページが英語表記になってしまうことがありました。その場合は、Rubyスクリプトで次のようにすることで解決しました。
profile = Selenium::WebDriver::Firefox::Profile.new profile['intl.accept_languages'] = "ja" profile['general.useragent.locale'] = "ja-JP" driver = Selenium::WebDriver.for :firefox, :profile => profile
この際は、こちらのページに助けられました。
Selenium-WebDriverでWebクローリングしたところ、画面表示に時間がかかるページがあり、次のようなエラーが発生しました。
/home/xxx/.rbenv/versions/2.2.4/lib/ruby/2.2.0/net/protocol.rb:158:in `rescue in rbuf_fill': Net::ReadTimeout (Net::ReadTimeout)
その場合、Rubyスクリプトで次のようにすると解決しました。
# タイムアウト値を大きくする(デフォルトは60秒。) client = Selenium::WebDriver::Remote::Http::Default.new client.timeout = 120 driver = Selenium::WebDriver.for :firefox, :http_client => client
この際は、こちらのページに助けられました。
おわり
非常に手間と時間がかかりましたが、環境構築を無事完了できてよかった。